DHBR×ドラッカー塾®「P.F.ドラッカー特別セミナー」レポート~混迷の時代に立ち返るべき、ドラッカーの核心思想「真摯さ(インテグリティ)」

株式会社ダイヤモンド社 HRソリューション事業室(ダイヤモンドHRD総研)

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  • ダイヤモンドHRD総研

2026年2月10日、DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー×ドラッカー塾®の特別セミナー『P.F.ドラッカー「真摯さ(インテグリティ)」とは何か~人間ドラッカーの魅力~』をダイヤモンド社9Fセミナールームにて開催しました。

本セミナーは、ドラッカー塾®講師・国永秀男氏DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー編集長・常盤亜由子の対談から、ドラッカー教授の核心思想「真摯さ(インテグリティ)」や人間ドラッカーの魅力に迫るものです。当日は会場40名、オンライン250名のご参加がありました。

※ドラッカー塾®:ドラッカー公認のマネジメント・プログラム
この記事では、当日のプログラムの流れに沿ってセミナーの内容を紹介します。

DHBR×ドラッカー塾 特別セミナー01

© 2026 DIAMOND, INC.
ドラッカー塾®講師・国永秀男先生(左)とDIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー編集長・常盤亜由子(右)

イントロダクション

DHBR2025年12月号『P.F.ドラッカー「真摯さ(インテグリティ)」とは何か』

今回の特別セミナーが企画された背景には、DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー(以下:DHBR)2025年12月号で没後20年のP.F.ドラッカー(1909-2005)の特集号『P.F.ドラッカー「真摯さ(インテグリティ)」とは何か』が組まれたことがあります。

セミナー冒頭に、DHBR編集長の常盤から、「没後20年の今、ドラッカー特集を組むにあたり、私たちがドラッカーにもう一度立ち返るとすれば、どういうキーワードがよいのかを考えたとき、出てきたのが『インテグリティ』だった」という説明がありました。世界的に混迷の時代の様相が濃くなる今だからこそ、「真摯さ(インテグリティ)」という言葉が多くの人に響くのではないでしょうか。

「インテグリティ」とは

「インテグリティ(integrity)」という言葉は、日本語に置き換えるのが難しい概念です。ドラッカー教授の著作はダイヤモンド社から数多く出版されていますが、「インテグリティ」に訳語を当てるか本当に難しく、ドラッカー教授と何往復もやりとりをして、「真摯さ」「誠実さ」という訳語になったそうです。

DHBR特集号では、「インテグリティ」の定義について、東京大学東洋文化研究所教授中島隆博氏にインタビューしています。中島先生は、あえて一言で説明するならば、インテグリティとは「公共的なものに開かれた立派さ」であると述べています。

社会生態学者ドラッカーと「インテグリティ」

ここで常盤から、ドラッカー教授といえば「マネジメントの父」と称されることが多いが、ドラッカー本人は一貫して自身のことを「社会生態学者(Social Ecologist)」と称していたという説明がありました。このことは、なぜドラッカー教授が「インテグリティ」という言葉にこだわっていたのかを深く理解するための重要な補助線となります。

それを踏まえて、DHBR特集号に掲載された前・会計検査院長で現在は東京大学客員教授田中弥生氏の寄稿が紹介されました。田中先生は生前のドラッカー教授と交流がありました。寄稿では、アメリカに渡る以前、多感な青年期をナチスドイツの全体主義に染まりゆく欧州で過ごし、社会がこうあってはいけないという、非常に強烈な原体験が、ドラッカー教授の人間性の形成に大きく影響したと指摘されています。
この原体験が、社会を生態系として捉え、その健全性を考察する社会生態学者ドラッカーを生み、その健全性を保つために(=全体主義に陥らないために)組織を動かす人間に「インテグリティ」を求めたのかもしれません。

ドラッカー教授本人がインテグリティのある人だった

ここで常盤から「国永先生の考える『インテグリティ』とは何ですか?」という質問が投げかけられました。国永先生は生前のドラッカー教授を何度も訪ねて、直接アドバイスを受けていました。インテグリティについては、ドラッカー教授本人も「定義できない」と言っていたそうです。それも踏まえて国永先生からの回答は、「一番難しい質問であり明確に定義はできませんが、自分が本当に信じるビジョン(志)からずれないで、それを守り続け、一途に歩み続けること。それがインテグリティ(真摯さ)だと思っています」というものでした。続けて、「そして、その志を体現して生きていったら、どのような社会や生活が実現するのか――その明確なビジョンを持ってその道を進む人こそが、真摯さを備えた人ではないでしょうか」というお考えを述べていただきました。さらに「私自身はドラッカーさんに何度もお会いさせていただき、ドラッカーさん本人がインテグリティのある人だったというイメージです」。

人間ドラッカーのインテグリティ

2番目のテーマは「人間ドラッカーのインテグリティ」。ドラッカー教授本人のインテグリティに触れるため、国永先生からドラッカー教授本人の人柄がよく理解できるエピソードを紹介していただきました。

DHBR×ドラッカー塾 特別セミナー02

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ドラッカー教授との初対面時のエピソード

国永先生がカリフォルニア州クレアモントにあるドラッカー教授の自宅を初めて訪ねたのは2000年5月。産業能率大学名誉教授の小林薫先生と元ダイヤモンド社社員の斉藤勝義氏という既にドラッカー教授と交流のあった二人と一緒に訪問しました。

自宅に伺いドアをノックすると、ドラッカー教授本人がドアを開けて、「こんにちは国永さん」と綺麗な発音の日本語で挨拶してくれました。あとで小林先生から「外国人にとって『国永』という発音は難しく、綺麗に発音するために、ドラッカー教授は事前に何度も何度も練習されていたんですよ」とお聞きし、国永先生はとても感動されたそうです。

さらに、初訪問から半年後に、テキサス州ダラスで開催されたドラッカー財団のイベントを訪ねたところ、ホテルのロビーでばったりドラッカー教授と会うことができ、会った瞬間に「国永さん」と名前を呼んでくれました。半年前に1回しか会ってない自分の名前を憶えておられたことに、国永先生も大変驚かれたそうです。同時に、「ドラッカー教授は本当にお一人お一人を大切にされる方なのだ」と深く敬意を抱かれたとのことです。

植物園への散歩でのエピソード

常盤から「ぜひ、あのエピソードを語ってください」と国永先生にリクエストしたのが、国永夫妻がドラッカー教授と近くの植物園へ散歩に行ったときのエピソードです。

植物園の中にドラッカー教授がお気に入りの綺麗な花が咲いている場所があったのですが、そこへ行くには舗装されていない砂利道を通らねばなりませんでした。すると、ドラッカー教授は国永先生の奥様に向かって、「その靴では歩きづらいかもしれないが、案内してもいい?」と確認してくれました。その心遣いにドラッカー教授の人に対する自然な優しさが滲み出ていたと国永先生は振り返っていました。

前向きな気持ちになり、やりたいと思えるアドバイス

ドラッカー教授から国永先生へのアドバイスにもインテグリティが溢れていました。

国永先生はドラッカー教授を何度も訪問し、毎回アドバイスを受けていましたが、一言もダメ出しされたことはないそうです。「今ここまでこんなふうにできました」と報告すると、小さな成果であっても一緒になって喜んでくれたそうです。また、質問すると、世の中の一般的な事例ではなく、国永先生に一番合った事例を一生懸命に探してくれました。本当に相手のことを考えて、なんとか自分が力になってあげたいという気持ちをひしひしと感じたそうです。また、上から目線やプレッシャーを感じることは一切なく、いつも帰るときに国永先生は前向きな気持ちになって別れていたそうです。

それ以外にも講座運営についてのアドバイスの具体的内容をご紹介いただきました。ドラッカー教授からのアドバイスと聞くと、私たちは「インテグリティとは何か」といった大きなテーマをイメージしがちですが、実際にはプラクティカルなテーマの具体的なアドバイスも行っていました。

組織の中のインテグリティ

3番目のテーマは「組織の中のインテグリティ」。常盤から国永先生に「インテグリティのある組織とない組織の違いとは?」という質問が投げかけられました。

DHBR×ドラッカー塾 特別セミナー03

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リーダーの一貫性が組織への信頼を高め、インテグリティの高い組織を生む

国永先生が真っ先に挙げたのは、経営幹部の定着率の違いでした。インテグリティが低い組織は経営幹部の定着率が悪く、インテグリティの高い組織は優秀な経営幹部が定着するというものです。両者の違いは、組織やリーダーへの「信頼」の違いとも説明できるそうです。ドラッカー教授曰く、「インテグリティの高い組織は、権力ではなく信頼で組織をまとめる」

また、ドラッカー教授は「リーダーが信頼されるためには『一貫性』が大切である」「リーダーシップとは、リーダーの賢さではなく、リーダーの一貫性に支えられる」と述べていました。この一貫性とは、リーダーの思っていること(思い)、言っていること(言葉)、やっていること(行動)が一致していることです。このリーダーの「一貫性」こそが「真摯さ」であると、国永先生は強調していました。

さらに、「使命」と「真摯さ」はセットであるという話がありました。自分は何を成し遂げたいかという「使命」をぶれずに持っていると、真摯さ、一貫性を保ちやすくなるというものです。反対に、ぶれない「使命」がない状態で、真摯さ、一貫性を保つことは難しいということになります。


ドラッカー塾®ではお馴染み、ドラッカー5つの質問の第1の質問は、「我々の使命は何か?」というものです。5つの質問をご存知の方は、第1の質問(使命)と真摯さの接続がなされたことで、腹落ちしたのではないでしょうか。

「インテグリティ」の体現者、ジャパネットたかた創業者・高田明氏

ここで「インテグリティ」という言葉で連想できる日本の経営者として、DHBR特集号でもインタビューを掲載したジャパネットたかた創業者・高田明氏の紹介がありました。

取り上げたのは、東日本大震災の際に、売上のすべてを義援金として寄付したテレフォンショッピングについてのエピソードです。この寄付については、そんな余裕はない、こんなことやっている場合ではないと組織内部で反対意見もあったそうです。それでも前例のないことが社会で起きた中で、「私たちジャパネット高田ができることは何か?」ということを考え、「私たちが考えられるオプションの中で一番よいと思える貢献を、今やらなくていつやるんだ」ということで、最後は高田氏の最終意思決定によって寄付の実行を貫きました。

このエピソードは、前述の国永先生の「リーダーの一貫性・真摯さを保つためには、ぶれない使命を持つことが大切である」という話と重なるものです。

「人事は組織の精神を表す」

国永先生からは、組織のインテグリティに関連して「人事は組織の精神を表す」という話もありました。特に昇進人事に、その組織が何を大切にしているのかが現れるというものです。経営者が「使命が大切だ」と言いながら、使命を体現した人ではなく、数字を上げていた人が昇進しているとなると、一貫性が失われてしまいます。このように、人事は隠すことができず、組織の価値観がしっかり反映されてしまいます。

ここでドラッカー教授の「何が正しいかより、誰が正しいかに関心を持つ人を昇進させてはならない」という言葉が紹介されました。誰が正しいかに関心を持つ人とは、上司が間違っていると思っても、自分の保身のために反対を言わないような人です。自分の保身が第一になると、何が正しいかを問わなくなり、言わなくなってしまいます。そのような人にインテグリティはありません。

このあたりは、全体主義に陥らないために組織を動かす人間にインテグリティを求めた、社会生態学者ドラッカー教授らしい視点ではないかと思います。

ドラッカーマネジメントを学んだビジネスパーソンの事例

4番目のテーマは「ドラッカーマネジメントを学んだビジネスパーソンの事例」。イベント参加者への事前アンケートで、ドラッカー理論を実践してうまくいったこと、うまくいかなかったことをご回答いただきました。その一部を紹介させていただき、特にうまくいかなかったことについて国永先生からアドバイスをいただきました。

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ドラッカー理論を実践してうまくいったこと、いかなかったこと

(ドラッカー理論を実践してうまくいったこと)
1「やらないこと」を決め、集中する分野を明確にできた
2. 従業員一人一人の強みを活かし、フィードバックを重視したマネジメントで組織が活性化した
3. 自分の仕事の中に学習を組み込み、自ら成長の模範となる」
4. 「顧客にとっての価値」「顧客の創造」を再定義し、中長期的な利益やブランド構築に役立てています
5. 「5つの問い」を中心に考え、意思決定を行って成功した

(ドラッカー理論を実践してうまくいかなかったこと)
1. 理論を実践に落とし込むのが難しい
2. 自分一人が学んだドラッカーの理論が、部下や他のメンバーには伝わりづらい。
3. 少人数の部署では弱みをカバーし合うだけの人員がおらず、強みを活かす配置が物理的に難しい
4. 目先の数字を優先する体質をなかなか変えられない
5. 自分で考えさせるために「問い」を渡すと、部下からは「放置・丸投げ」と受け取られ、不信感を招く

自分を変えないと組織は良くならない

うまくいかなかったことの5番目、「自分で考えさせるために『問い』を渡すと、部下からは『放置・丸投げ』と受け取られ、不信感を招く」という現象に対して、国永先生からアドバイスをいただきました。

ドラッカー塾®で学んで成果を上げてきた方々は、「部下ではなくて自分自身を変えている」点が共通しています。部下によくなってもらう、部下にわかってもらうという前に、自分自身のやり方を変えることに意識を向けて、「自分自身をどうする?」「自分の今までのやり方の何を変えたらよい?」と自問自答し、自分を変えていっています。ドラッカー教授も「自らをマネジメントできない人間が、組織をマネジメントできるはずがない」と述べています。国永先生によれば、経営者が自分自身を変えていないのに、会社の業績が良くなる、組織が良くなることはほぼゼロだそうです。

計画と実行を分離させてはいけない

​うまくいかなかったことの2番目、「自分一人が学んだドラッカーの理論が、部下や他のメンバーには伝わりづらい」という現象に対しても、国永先生からアドバイスをいただきました。

失敗する典型パターンは、ドラッカーマネジメントを学んだ人が会社に帰ってきて、いきなり部下に対して、これをやってくれ、あれをやってくれと「実行」だけを求めてしまうというものです。ドラッカーマネジメントには、「計画と実行を分離させてはいけない」という原則があります。一方、前述の失敗パターンは、計画と実行を分離させてしまっています。

ドラッカー教授は人を大切に考え、その中でもとりわけ「自由」というものを重視していました。ドラッカー教授がいう「自由」とは、責任ある選択ができる状態のことです。責任ある選択とは、選び取ることができるが、その選び取ったことにしっかり自分が責任を負うというものです。計画と実行が分離された状態になると、部下には自由がなく仕事に対するモチベーションが低下します。このような状況では、経営者や上司がいくら学んでも、そのことが部下に伝わりません。

ドラッカー教授が責任ある選択を大切にしたというのは、実存主義の先駆者として、個人の選択と責任を重視した哲学者キルケゴールの影響があると思われます。セミナー内でもドラッカー教授がキルケゴールを深く敬愛し、『もう一人のキルケゴール』という著作を残していることが簡単に紹介されました。

社会の中のインテグリティ

5番目のテーマは「社会の中のインテグリティ」です。常盤から国永先生に「もしドラッカー教授がいまの世界を見たら何を考えるでしょうか?」という質問が投げかけられました。

DHBR×ドラッカー塾 特別セミナー05

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世界がどうあったとしても、リーダーはビジョンを持って前に進め

国永先生の回答は、ドラッカー教授はいい加減な答えは一切しないと前置きした上で、「ドラッカーさんは、『世界がどうあったとしても、リーダーは常にビジョンを持って前に進め』『未来は予測できないが、未来を創ることはできる。それをリーダーは自分で考えて取り組んでいくことが求められる』とおっしゃるような気がします」というものでした。

自分の中にぶれないモラルコンパスを持つ

ここで混沌した国際社会におけるインテグリティの実践として、DHBR特集号に掲載された国際連合事務次長・中満泉氏の記事が紹介されました。紛争地帯で命の危険にさらされた現地の女性2人を何とか安全な場所まで連れていったエピソードです。その際、中満氏は彼女たちの命を守るためにルール違反を犯し、事後報告しました。自分たちが活動することの本質的な意味を考えた時に、彼女たちの命が守られるならば、それを優先すべきだと判断したものです。中満氏は、こういったフレキシブルな状況判断をしていく際の自身の判断基準を「モラルコンパス」と呼んでいます。これはインテグリティに通じるものです。

いかに役に立てるか(how to be useful)

さらにDHBR特集号から、世界的ベストセラー『ビジョナリー・カンパニー』の著者(共著)として知られるジム・コリンズ氏へのインタビュー記事の紹介がありました。ジム・コリンズ氏は『ビジョナリー・カンパニー』が出版された直後に、ドラッカー教授と一回だけ直接会うことができましたが、その日が彼にとっての決定的な瞬間(defining moment)となりました。

当時、彼は「今後自分のキャリアをどのように築いていくべきか」を悩んでいました。そんなとき、ドラッカー教授から「(あなたは)成功できるかどうか(how to be successful)について心配していますね。それは、間違った質問です。正しい問いはいかに役に立てるか(how to be useful)ですよ」というアドバイスを受け、その瞬間に彼の人生は決定づけられました。これ以降、「いかに役に立てるか(how to be useful)」という問いが、あらゆる意思決定の羅針盤になっているそうです。

その日から30年超の歳月が経ちますが、取材をしているとジム・コリンズ氏はどんどん前のめりになり、昨日のことのように思い出されると言い、聞き手の常盤も感動しながら取材していたそうです。

「何によって憶えられたいか?」

参加者が「自分も真摯さについて前向きに取り組んでみたい」と思ってもらえるようにと、国永先生から「何によって憶えられたいか?」というドラッカーマネジメントの重要な問いが提示されました。

これは「自分の人生にどのような意味を持たせたいか」という根本的な価値観を問うものです。この問いはドラッカー教授が中学生のとき、宗教学の授業で先生が生徒全員に尋ねたものなのですが、晩年までドラッカー教授はこの問いについて考え続けていたそうです。この問いは、人生という航海における「羅針盤」のようなものであり、この答えを持っているかどうかが、納得ある人生を送るための鍵になります。

この問いの答えを持つためには、「明日会う人にどのように憶えられたいか?」のように、少し時間軸を短くして対象を具体化して考えるとよいとアドバイスがありました。また、自分の「価値観」と「強み」をうまく使うこともポイントとなります。さらに「何によって憶えられたいか?」の答えが、「自分のために」ではなく「誰かのために」という視点で見つかったほうが力が湧くというアドバイスもありました。前述のジム・コリンズ氏のエピソードにも通じますが、ドラッカーマネジメントでは「貢献」をとても大切にします。ドラッカー教授は「貢献したいという気持ちは、人間が生まれつき持っているもの」と述べていました。

最後に、国永先生が「何を持って憶えられたいか」と「真摯さ」の関係を整理してくれました。この2つは「納得ある人生を送るための両輪」であり、まず「何を持って憶えられたいか」の答えを持ち、その上で日々の行動で「真摯さ」を守り抜くことで、それが実現されると締め括っていただきました。

質疑応答

本編終了後には、会場およびオンライン参加者からの質疑応答の時間が設けられました。

一部をご紹介すると、「業績の向上を目指すよりも、使命の実現を目指したほうが、結果的に業績は良くなるという話がありましたが、業績が悪い場合には、程度問題で使命よりも売上(業績)を目指すべきというケースもあり得るのでしょうか」というご質問がありました。

セミナー本編で国永先生から「ドラッカー塾®で学んだ経営者には、使命の実現を目指し、数値目標を言わなくなったら、結果として数値が上がったという人も多い」というお話がありました。数値を言わないほうが数値が上がると聞き、「本当にそうなのか?」と思われた参加者もいたのではないでしょうか。

この質問に対する国永先生の回答は、「『使命の実現と売上の向上のバランスを考える』という発想自体をやめたほうがよい」というものでした。すなわち、売上を上げるためには、顧客に喜んでもらえる価値を提供するしかありません。これはドラッカー5つの質問の第2の質問「我々の顧客は誰か?」、第3の質問「顧客にとっての価値は何か?」に関わるものです。2つの質問は第1の質問「我々の使命は何か?」とも不可分なものであり、「使命の実現→顧客が喜ぶ価値提供→売上の向上」という流れで、「使命の実現」が「売上の向上」をもたらします。

また、メンバーの一体感を考えた場合、使命の実現や顧客への貢献には一体感が生まれやすいですが、数値目標に一体感を見出すのは難しいかもしれません。ドラッカー教授が「貢献したいという気持ちは、人間が生まれつき持っているもの」と述べていたことを思い出すとよいでしょう。その意味でも「使命の実現」や「顧客への貢献」を起点にリードしたほうが、メンバーが前向きになるというのが国永先生からのアドバイスでした。

最後に

本セミナーでは「真摯さ(インテグリティ)」という切り口から、DHBR特集号も交えながらドラッカー教授の思想の根底にあるものや、人間ドラッカーの魅力に迫りました。没後20年以上となった今でも、人々がドラッカーマネジメントに惹きつけられる理由をご理解いただけたのではないかと思います。

セミナー内で国永先生から「ドラッカーさん本人がインテグリティのある人だった」という言葉がありました。それに重ねると、おそらく参加者の多くの方が、ドラッカー教授からの学びを真摯に受け継ぐ国永先生に対して、インテグリティのある人を見出したのではないでしょうか。

本セミナーにご参加いただきました皆様に、心より御礼申し上げます。
今後のお仕事等に少しでもお役立ていただけましたら幸いです。

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