内定者の満足度が高いフォロー施策とは? | 内定者フォローに対するZ世代1,119人のホンネ【第3回】
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- ダイヤモンドHRD総研

近年、人手不足が加速する中、人材獲得競争はますます激しさを増しています。就活生の多くが複数の内定(内々定)を獲得しており、企業が内定を出しても、内定承諾が得られないケースや、内定承諾後であっても辞退されてしまうケースが少なくありません。企業の採用活動において、内定者の「つなぎとめ」は大きな課題になっています。
優秀な人材をつなぎとめるためには、入社への不安を解消し、企業への期待や信頼感を高める「内定者フォロー」が必要不可欠です。この連載記事では、ダイヤモンドHRD総研が、入社3年目までのビジネスパーソン1,119人を対象に実施したアンケート調査の結果をもとに、イマドキの内定者の実態とフォローのポイントを読み解いていきます。
多面的なフォローが内定者の「満足度」を高める
前回の記事では、内定者が抱える不安と企業への期待について取り上げました。内定者の多くが「人間関係」をはじめとする不安を抱えており、先輩社員との接点やスキルアップの機会を求めていることが分かりました。そうした内定者の不安や期待に寄り添ったフォローを実施することが重要だと言えるでしょう。
それでは、現在、企業はどのような内定者フォローを実施しており、内定者はそれをどのように受け止めているのでしょうか? 今回はまず、イマドキの新卒社員が経験した内定者フォローの内容について見ていきましょう。

≪実施されたフォロー施策の数≫を見てみると、4人に3人(約76%)は何らかの内定者フォローを経験していることが分かります【グラフ1】。内訳では、「1種類」という回答が28.4%で最多でしたが、「4種類以上」という回答も16%を占めました。複数のフォロー施策を組み合わせて実施している企業も少なくないことが読み取れます。
続いて、≪フォロー施策の実施率≫を見てみましょう【グラフ2】。最も実施率が高かったのは「内定式(59.3%)」で、次いで、「内定者同士の懇親会(45.9%)」と「先輩社員を交えた懇親会(27.6%)」が並びました。比較的カジュアルな交流の機会がよく設けられていることが分かります。
その他、「人事担当者との面談(23.8%)」「先輩社員との面談・座談(21.3%)」といった1対1あるいは少人数での質問・相談の場、「e-ラーニングやテキスト等の提供(16.7%)」「内定者研修・勉強会(14.6%)」などのスキルアップの機会を提供している企業も多いことが読み取れます。

本調査では、自身が体験した内定者フォローを100点満点で評価してもらいました。≪実施されたフォロー施策の数≫と≪内定者の評価≫の関係を見てみると、フォロー施策の数が多いほど、高評価(70点以上)の割合が高く、「1種類のみ実施」のグループと「4種類以上を実施」のグループでは、20pt近くの差があることが分かります【グラフ3】。
企業(人事)としても手間と時間がかかるほか、内定者の拘束時間や負担感が大きくなりすぎないような配慮は必要になりますが、可能であれば、さまざまな施策を組み合わせて、多面的なフォローを実施するほうが、内定者の「満足度」を高めることができると言えるでしょう。
職場のリアルを知る機会と人間関係の構築がポイント
イマドキの新卒社員は、企業が実施した内定者フォローをどのように受け止めているのでしょうか? ここからは、≪内定者フォローが「あって良かった」と思うかどうか≫という問いに対する回答を見ていきましょう【グラフ4】。

1位には「職場見学、工場等の施設見学(93.6%)」、2位には「実務体験(アルバイト、インターンシップ含む)(91.0%)」が並びました。入社後の人間関係や働き方に不安を抱える中で、会社や職場の雰囲気を体感したり、実際の業務を体験したりすることができる機会への満足度が高いことがうかがえます。
次いで、3位は「内定者同士の懇親会(90.1%)」で、5位の「先輩社員を交えた懇親会(89.0%)」と並んで、懇親会が上位にランクインしました。同期や先輩社員とのつながりをつくることができる機会があることで、人間関係への不安が軽減され、内定者の満足度を高めることが読み取れます。また、「先輩社員を交えた懇親会」は、職場見学や実務体験と同じように、会社や仕事のリアルを知る機会にもなるでしょう。
4位には「専門資格・運転免許等の取得支援(89.7%)」が入りました。内定期間中に取得を求める場合や推奨する場合には、講座や教材の提供、費用面の支援などを行うことが、内定者の満足度につながると考えられます。
上位と下位で10pt程度の差はあるものの、いずれのフォロー施策も、8割以上は「あって良かった」と受け止めていることが分かります。自社と内定者の状況・ニーズに応じて、必要な施策を組み合わせながら実施していくことが重要だと言えるでしょう。
まとめ
今回の記事では、≪内定期間中に実施された内定者フォロー≫と≪内定者フォローが「あって良かったと思うかどうか≫に関するデータをご紹介しました。
内定者の満足度を高めるためには、さまざまな施策を組み合わせて、多面的なフォローを実施することがおすすめです。また、内定者の多くが、入社後の「人間関係」や「仕事・働き方」に不安を抱える中、職場見学や実務体験といった職場のリアルを知る機会を設けたり、懇親会などで人間関係の構築をサポートしたりするのが効果的と言えそうです。
ここまでの記事(第1回~第3回)では、定量的なデータをもとに、イマドキの内定者の実態とフォローのポイントを読み解いてきました。次回の記事では、「役に立った点・うれしかった点」と「不満だった点、改善したほうがいいと思う点」についての定性的なデータ(フリーコメント)をご紹介します。
記事構成・編集
ダイヤモンド社 HRソリューション事業室 広瀬一輝
1993年生まれ、高知県出身。2016年に新卒でダイヤモンド社に入社。書店営業部を経て、17年よりHRソリューション事業室で人材開発事業に携わる。適性検査、動画教材、研修プログラムなどの企画開発のほか、HD領域の書籍編集を担当。趣味は読書(SF・ミステリ)とオンライン将棋。
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