ビジネス・ライティングのスキルをマスターするメリットと押さえるべき基本|ダイヤモンド社が考えるビジネス・ライティングの学び方と教材を紹介
- ダイヤモンドHRD総研

ビジネス・ライティングは、ビジネスシーンにおいて欠かせないスキルです。正確かつ簡潔に情報を伝える能力は、業務の効率化や信頼関係の構築に直結します。
しかし、具体的な書き方やスキルを学ぶ機会が少ないため、苦手意識を抱えている方も少なくありません。スキルを身につければ、業務効率化や信頼性向上といった多くのメリットを得られます。また、読み手の立場に立って文章を作成する過程で、相手を尊重する思考力も自然と養われます。
この記事では、ビジネス・ライティングのメリットや基本の書き方を紹介します。
ビジネス・ライティングとは
ビジネス・ライティングとは、業務上で必要となる文書を作成するスキルのことを指します。具体的には、報告書や稟議書、企画書などビジネスシーンで求められる文書を分かりやすく正確に作成することです。
近年では、オンラインコミュニケーションの増加に伴い、メールやチャットなどの文章作成能力も求められています。
ビジネス・ライティングの目的
ビジネス・ライティングの最も重要な目的は、相手に状況や主張を理解してもらい、必要な行動を起こしてもらうことにあります。例えば、社内用の文章は、必要な情報を正確かつ簡潔に伝える表現が必要です。
一方、社外向けの文章では、礼儀と丁寧さ、誰が見ても分かりやすい表現などの気配りも大事な要素となります。ポイントは、相手に意図が正しく伝わり、スムーズなコミュニケーションが実現できることです。
ビジネス・ライティングは学術論文のような高尚な文章力を求めているわけではなく、簡潔で分かりやすく誤解のない文章を書くことが欠かせません。
企業におけるビジネス・ライティングの課題
「部署内での報告書の伝達がうまくいかない」などの課題を持っている企業様の声を聞くことケースも増えています。具体的には、現場から人事に対して「メールが書けない」や「報告書が書けない」といった声が上がるケースも少なくありません。
また、文章で伝える際の「相手への気遣い」を意識させたいといった希望も多いです。文章を書く力だけでなく、読み手を意識した心配りが必要であることを学んでほしいといったニーズもあります。

記事の後半では、ダイヤモンド社が開発した教材『ビジネス・ライティングの基本』をご紹介します。
ビジネス・ライティング研修の必要性
ビジネス・ライティング研修を重要視していない企業は多い印象があります。お客様は「ライティングを学ぶための教材」で、新人が受けるものという認識を持っているのが一般的です。
しかし、ビジネス・ライティング研修は「時期に関係なく全員受けるべき」だと感じています。例えば、前職での書き方が転職先では通用しないケースもあるでしょう。
文章は、人によって捉え方が様々です。だからこそ、書き方の統一が必要だと考えます。
このような話をさせていただくと、必要性を感じ、新人から対象を広げてライティング研修を実施することになった企業もあります。
ビジネス・ライティングをマスターする3つのメリット
ビジネス・ライティングをマスターすることで得られるのは、文章を書くテクニックだと思っている方も多いです。しかし、得られるメリットは文章力だけではありません。
業務の効率化や信頼性の向上、相手の立場に立った考え方の習得など、多くのメリットがあります。
1.伝達がスムーズになる
ビジネス・ライティングの特徴は、誤解を減らせることです。明確に表現することで、異なる解釈になる可能性を抑えられます。ビジネスの場面では、誤解が重大な問題につながるケースも少なくありません。
ビジネス・ライティングをマスターすれば、こうした誤解を事前に防ぎ、情報伝達がスムーズに行えるようになります。文章が明確で簡潔なため、相手がこちらの意図を素早く理解できるからです。
また、伝達がスムーズだと質問や確認が減少し、コミュニケーションコストも下がります。結果的にビジネス全体が円滑に進むでしょう。
2.信頼性と説得力が増す
ビジネス・ライティングは、説得力も増します。例えば、プレゼンテーションや商談の場面でも、説得力のある主張ができ成功率が高まるでしょう。
また、誤字脱字がなく丁寧に読みやすく書かれている文章は、相手に対する敬意にもなります。こうした印象は「この人は仕事ができる」とイメージを与え、信頼にもつながるのです。
従って、ビジネス・ライティングをマスターすることは、自分はもちろん企業全体の信用を高めるためにも欠かせません。
3.相手を尊重する意識が身につく
ビジネス・ライティングの最大の特徴は「読む相手がいる」ということです。相手は「業務をスムーズに進めたい」や「問題を解決したい」といった期待を持って文章を読みます。
ビジネス・ライティングを学べば、読み手意識を高められるのです。具体的には、相手の立場や考え方を理解しようとする表現や、感情面への配慮などが挙げられます。
ライティングで学べるのは、文章力だけではありません。相手の意見に耳を傾ける姿勢や、適切な言葉選びといった意識が身につくのも大きなメリットです。
一般的なビジネス・ライティングの型と書き方
最初に、一般的なビジネス・ライティング用いられている2つの「型」と、基本的な書き方を紹介します。
結論から先に書く(PREP法)
ビジネス・ライティングでは、結論を先に述べます。これを実践するための手法が、PREP法と呼ばれる書き方です。
PREPとはPoint(結論)Reason(理由)Example(具体例)Point(再主張)で構成されます。この順番で文章を組み立てるのがポイントです。結論を先に示すことで、内容に対する理解が深まり、文章全体に一貫性を持たせられます。
汎用性が高く、あらゆるビジネス文書に応用できるのが特徴です。
要点を強調する(SDS法)
SDS法は、PREP法をシンプルにしたものです。Summary(要約)、Details(詳細)、Summary(要約)の順で、文章を構成します。
最初に要点を強調し、何について述べるのかを伝えて内容を説明し、もう一度まとめて締めるパターンです。最初と最後に要約を置くことで情報の核を把握しやすく、詳細な情報もストレスなく理解できる特徴があります。
プレゼンテーションや、報告書の作成に有効な書き方です。
60文字以内で一文一義にする
1つの文章に複数の情報を入れると理解がしにくく、誤解を招く原因です。複数の内容が含まれる場合は、60文字以内に文を分割して表現することで、より明確な伝達ができます。
ビジネス・ライティングでは、1つの文で1つの意味を伝える「一文一義」を意識しましょう。文章をシンプルにすることも、読みやすくするための要素です。
読みやすくなれば、誤解を防ぐことにつながります。
専門用語や難しい言葉を避ける
ビジネス文章では専門用語や難しい表現を避け、わかりやすさを優先することが大切です。簡潔でわかりやすい言葉にすることで、誰にでも理解できる文章になります。
特に社外向けの場合は、配慮が必要です。どうしても専門用語を使う際は、具体的な例を用いて説明すると理解がスムーズになります。
こうした言葉の配慮は、相手に伝わる文章を作成するために欠かせません。
接続詞は入れすぎない
接続詞を入れすぎると文章が冗長になり、読みにくい文章になります。ビジネス・ライティングでは、必要最低限の接続詞を使用するよう心掛けることが大切です。
また、接続詞が少ないと文の流れが途切れず、情報がスムーズに伝わりやすく結論がより印象づけられます。結論を強調するためにも、接続詞の使い方には注意が必要です。
助詞の使い方に気を付ける
助詞を間違って使うと文章の意味を曖昧にする原因となります。「〜が」「〜は」「〜を」などの使い方には注意し、それぞれの役割を正確に理解しましょう。
「は」は主題を表し、文の中で何について話しているのかを明確にする役割があります。一方「が」は主語を表し、特に新しい情報や特定の事実を強調する際の助詞です。
また、「に」は到達点を、「へ」は方向性を示す場合に使用します。
同じ助詞が繰り返されると単調になるため、適切な言い換えも意識する必要があります。
文末の表現に注意する
文末表現は文章全体の印象を左右するのでとても大切です。特に「〜と思います」「〜と考えます」のような曖昧な表現は自信がない印象を受けます。
ビジネス文書では、文末表現の統一が重要です。社内文書では「です・ます調」を基本とし、社外向けには「させていただきます」などの謙譲表現を適切に使用しましょう。
また、報告書では「~しました」、企画書では「~します」というように、文書の種類に応じた表現にすることが大切です。さらに「〜です」「〜します」と断定的な表現を使うことで信頼感が高まります。
ダイヤモンド社が考えるビジネス・ライティングの学び方
続いて、ダイヤモンド社が考えるビジネス・ライティングの考え方を説明し、提供している学び方と教材を解説します。
ダイヤモンド社では、公立はこだて未来大学教授でライティング教育の第一人者、冨永 敦子(とみなが・あつこ)先生のメソッドを用いた研修プログラムをご用意しています。本研修では、「読み手意識を高めることが大事」だという視点に立ってビジネス・ライティングを捉えています。
富永先生のテキスト『ビジネス・ライティングの基本』をベースにした研修プログラムで「相手を動かす書き方」を学べるのが強みです。
ビジネス・ライティング研修の詳細がわかるパンフレットもご準備しています。お気軽にお問い合わせください。
ビジネスライティング教育の第一人者による「わかりやすい文章」の書き方
冨永先生のテキスト『ビジネス・ライティングの基本』に書かれた「8つのチェックポイント」「パラグラフ・ライティング」を実践することで、「読み手」に正確に伝わるわかりやすい文章が書けるようになります。「人はどのように文章を読むのか」という視点から、わかりやすい文章の作成方法を解説します。
メール文、報告書などアウトプット中心の4時間プログラム
事前学習ではテキストを使ってインプットを行い、研修では文章修正、メール文作成、報告書作成など5つのワークを組み込んだアウトプットを行うプログラムとなります。テキストのやりっぱなしに歯止めをかけ、テキスト内容をスキルとして使えるになることを目指します(「わかる」から「書ける」へ)。
また、冨永先生が解説するオリジナル動画を6本用意しており、研修内で効率的にインプットできるほか、具体例を交えた解説で理解が深まります。
本研修は、人事担当者や社内講師が研修を内製化できるよう、教材・動画・マニュアルなどを含むパッケージとして提供します。
ライティング学習の効果を高める「文章の相互評価」
冨永先生が推奨する学習方法は、「文章の相互評価」です。作成した文章を他者と評価し合うことで、2つの気づきが得られます。1つは、自分が書いた文章を他者に説明することで気づく点、もう1つは他者の意見を聞くことで得られる気づきです。
このような相互評価を通じて、他者と共に学びながら文章のクオリティを高めることができます。本研修では、文章の相互評価を積極的に取り入れています。
「読み手」意識の徹底(ペルソナを活用する)
相手(読み手)を意識した文章を書くことで、内容が伝わりやすくなります。本研修では、「ペルソナ」の手法を使って、具体的な読み手を描き出します。この手法は、マーケティングで顧客像を明確にするために用いられるものです。
「ペルソナ」を描くことで、「読み手には何を、どのように伝えるべきか」「読み手はこの文章を読んでどう感じるか」「この文章で読み手はどのように行動するだろうか」をより具体的に考えることができます。
ビジネス文章の基本が一人で学べ、研修やOJTにも最適
ビジネス・ライティングの基本
『ビジネス・ライティングの基本』は、インストラクショナルデザインをもとに設計されており、メールや議事録、報告書などビジネス文章の基本が学べ、仕事の生産性が上がります。
『ビジネス・ライティングの基本』を詳しくみるまとめ|ビジネスライティング研修で大切なこと
ビジネス・ライティング研修で大切なことは、気づきだと感じます。特に新卒の場合は、LINEやX、インスタなど、短文しか使わなかったという方も多いです。
しかし、社会人になれば長文や言い回しが必要になり、その難しさにレベルの高さを感じる方も少なくありません。「研修を受けることで、文章は、自分の意思が伝われば良いと思っていた考えが根本から覆されました」という受講者の声を聞いたこともあります。
なぜこのような書き方が必要なのかや、先輩社員がどのような意識を持って書いているのかに気づけたことは本当に良かったと思っています。テクニックの習得はもちろん、自分がどれだけできてないかに気づくために研修をやるのも大事ではないでしょうか。
ビジネス・ライティングを上達させるためには、技術と意識を学ぶことが欠かせません。ダイヤモンド社の「ビジネス・ライティング研修」はライティング教育の第一人者、冨永敦子教授の文章術を学べるカリキュラムになっています。
「読み手を意識した文章が書けていない」と感じる企業においては、新人を問わず一度研修を実施してみてはいかがでしょうか。
『ビジネス・ライティングの基本』の教材のことが詳しくわかるパンフレットをご準備しております。

株式会社ダイヤモンド社 人材開発編集部(ダイヤモンドHRD総研)
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