日本道路株式会社

ビジネスマナーはコミュニケーションの礎|約半年の研修の幕開けを担い、フィードバックをもとに研修内容を毎年ブラッシュアップし続ける、日本道路のマナー研修を詳しく解説

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1929年創業の日本道路は、道路の建設や舗装を主軸とする建設業界のパイオニア。その確かな技術力には定評があり、90年以上の長きにわたって日本の「道づくり」「街づくり」を支えてきた。そんな同社は“人財”の育成に力を注いでおり、新入社員研修を皮切りに、継続して研修などを実施することで、社員のステップアップを手厚くフォローしている。その力の入れようを象徴するのが、社員研修施設の入る「土浦テクノBASE」(茨城県・土浦市)。今回は、2024年4月に開所したばかりの土浦テクノBASEにて、管理本部人事部のお二人に、同社が新入社員研修で導入する『フレッシャーズ・コースを活用した新入社員研修』についてお話を伺った。

管理本部 人事部 土浦テクノBASE  所長 矢板正光さん (右) 係長 森直也さん(左)

ビジネスマナー研修を重視する背景

社会人・組織人として働く上で、ビジネスマナーが土台となる重要性を認識してもらう

御社は社員教育を重視し、さまざまな研修の実施に加え、通信教育支援などのサポートも充実しているそうですね。そんな社員教育の入り口とも言える新入社員研修は、現状、どのような体制になっているのでしょうか?

矢板

 2024年から、新入社員研修は基本的に、この土浦テクノBASEで実施するようになりました。土浦テクノBASEは、当社が2029年に創立100周年の節目を迎えるのに先立って建設された複合施設で、社員研修施設のほか、技術研究所や機械センターも併設されています。

土浦テクノBASE|日本道路株式会社(技術研究所・社員研修施設・機械センターの3つの機能を統合した施設)

土浦テクノBASEは、技術研究所・社員研修施設・機械センターの3つの機能を統合した施設として、2024年4月に開所。来場者の方に当社の工法や製品を体験してもらうことができ、社員にとっても「学ぶ」「知る」機会が提供される。

矢板

 ただの研修施設ではなく、実際に働いている先輩社員や来客も多いので、新入社員は研修を受けつつ、日常的に会社の取り組みの一端を垣間見ることができます。

 社内における職種は、工事職、事務職、研究職などさまざまですが、この会社で将来自分がどうなりたいか、というビジョンを思い描く一助にもなるでしょう。技術研究所や機械センターの講義を受けるチャンスもあるので、たくさんの刺激を受けられると思っています。ここでは新入社員全員を約半年にわたって預かり、社会人としての基礎や現場で必要な知識などをしっかり身に付けてもらいます。

約半年というのは、新入社員研修の期間としては長いほうですよね。

矢板

 長いと驚かれることもありますが、私たちとしてはちょうどいい長さだと感じています。今後長く働いていくうえでの土台作りとなる大切な時期ですし、研修後は全国の支店に配属されるので、つかの間ではありますが、同期の仲間との絆を深めるひとときになれば、と考えています。

約半年の研修期間は、具体的にどのようなスケジュールになっているのでしょうか?

矢板

 座学をメインにした研修に始まり、ゴールデンウィークを挟んで5月には現場研修。各支店に足を運び、実際の工事現場を体験してもらいます。その後はまた土浦テクノBASEに戻って、専門的な知識・技術を習得するための実習や研修、勉強会などを積み重ねます。こうした一連の研修の序盤で実施しているのが、ビジネスマナー研修になります。

内定者フォローツールの内容と連動性のある研修を採用

ビジネスマナーをテーマとした研修は、人材育成にかかわる多くの企業が提供しています。その中から、ダイヤモンド社の『フレッシャーズ・コースを活用した新入社員研修』を選ばれた理由を教えてください。

 当社は、内定者フォローのツールとしてダイヤモンド社の「フレッシャーズコース」(注)を活用しており、その内容と連動性のある研修が適しているだろう、と考えたことが主な理由です。研修の内製化も選択肢としてありましたが、社内の常識と一般の常識が微妙にズレている部分もあるかもしれないので、やはり専門家をお招きし、きっちりレクチャーしてもらったほうがいいだろう、ということで外部の研修を導入しました。

【注】 フレッシャーズ・コースとは、新入社員の早期戦力化を支援するダイヤモンド社の社員教育テキストです。社会人としての基礎知識やビジネスマナーを短期間で習得でき、内定者フォローをサポートします。

新入社員のビジネスマナーに関しては、どのような課題感をお持ちでしたか?

 学生のうちにビジネスマナーがわからないのは当然なので、研修でしっかり学んでもらえればいいと思っています。学生から社会人になり、組織の一員となり、お金をもらって働く立場になったからには、何よりもまずビジネスマナーが大切であるということを、最初に認識してもらう必要があります。

 当社の場合、ゆくゆくは工事現場に出て、現場監督を務めることになる社員が多いのですが、現場では作業員を束ねて、臨機応変に適切な指示を出すことが求められます。そのためには人に伝える力や、人の言葉を聞く力――要はコミュニケーション能力が不可欠です。

 人とスムーズにコミュニケーションをとるには、社会人として相応の言葉遣いや立ち居振る舞いも重要ですから、早い段階からすべてのベースとなるビジネスマナーを身に付けることが望ましいと言えます。

研修の活用シーン

2日間のプログラムを3日間にカスタマイズするなど、新入社員やOJT担当者へのフィードバックを基に研修内容の改善を繰り返す

実際に研修がどのように実施されているのか教えてください。

日本道路株式会社 管理本部 人事部 土浦テクノBASE   所長 矢板正光さん

管理本部 人事部 土浦テクノBASE   所長 矢板正光さん

矢板

 先ほども申し上げたとおり、最初に社会人としての基礎を身に付けてほしいという意図から、新入社員研修の初っ端で『フレッシャーズ・コースを活用した新入社員研修』を実施しています。期間としては3日間。外部から講師をお招きするときは、なるべく私たちも立ち会うようにしているので、指導の様子を見学させてもらっています。

 プログラムのベースは2日間ですが、会社ごとの課題やニーズに合わせてカスタマイズしたり、オリジナルコンテンツを制作したりすることもダイヤモンド社の研修では可能です。御社の場合、2日のプログラムを3日に膨らませるというカスタマイズをされていますが、この理由をお聞かせください。

 プログラムでは、学生と社会人の違いを理解した上で、報連相などの基本的なコミュニケーションのあり方、基本動作、言葉遣い、電話応対の仕方などを幅広く学ぶことができますが、私たちとしては「ビジネスメールに関するレクチャーをより手厚くしてほしい」という要望があったので、そこを膨らませていただきました。過去に、OJT担当者からのフィードバックで「新入社員のメールの書き方がなっていない」と指摘されたことがあり、必要性を実感していたためです。

 具体的には、典型的なビジネスメールのフォーマットや、書くときの注意点などを教えていただく時間を長めにとってもらっています。ただ習っただけではなかなか実践できないので、実際に新入社員にビジネスメールを書かせて、それを講師の先生に送り、添削してもらうところまで対応していただいています。

座学に終わらず、シミュレーションで定着を図るやり方は有効だと思います。こちらの要望に沿って、柔軟にカリキュラムを調節していただけているのはありがたいですね。

御社では、こまめに研修へのフィードバックを行い、毎年少しずつカリキュラムをブラッシュアップされているそうですね。

矢板

 せっかく研修を行っても、その内容が身についていなければ意味がないので、新入社員やOJT担当者などを通じて意見を吸い上げて、研修カリキュラムの改善を繰り返すことを重視しています。

 その改善の中で作り上げたものの一つに「トークンタスク」があります。新入社員の中には、講義型の研修にしてもグループワークにしても常に受け身で、自主的にアクションを起こさないタイプが少なからずいます。積極的な人、できる人にただついていくだけで、自分の頭で考えない状態が続いていると、成長につながりません。最初はわずかな差でも、時間の経過とともにそれが大きな差に変わってしまいます。

新入社員全員の力をなるべく偏りなく底上げするにはどうしたらいいのか――とダイヤモンドさんにご相談し、試行錯誤した結果、ご提案いただいたのがトークンタスクです。

マナー研修に有効なワークである「トークンタスク」のイメージ

トークンタスクの実施イメージ

 トークンタスクでは、研修の中で与えられた何らかの課題に対し、全員が自分の意見や考えを付箋に書いて貼りだします。その後、自分以外のすべての人の付箋に目を通し、良いと感じた意見にシールを貼るという流れです。

 この方法により、全員が自分の頭で考えてアウトプットをする機会が得られると同時に、講師から教わるだけでなく受講者同士で意見交換し、学びを深めることができます。研修にトークンタスクを取り入れてからは、研修の休憩時間中にも新入社員同士で意見交換する様子が見られるなど、全体的に意識が高まり、良い波及効果がありました。

研修で用いる教材については、どのような印象をお持ちですか?

以前、他社の研修を採用していたときには、紙の教科書のような教材を使っていましたが、『フレッシャーズ・コースを活用した新入社員研修』の教材はマンガや動画がふんだんに取り入れられており、新入社員にはわかりやすく、とっつきやすい内容になっていると思っています。

日本道路株式会社 管理本部 人事部 土浦テクノBASE  係長 森直也さん

管理本部 人事部 土浦テクノBASE  係長 森直也さん

講師に対する印象もお聞かせください。

 最初にダイヤモンドさんから講師の方を何人か紹介していただき、途中入れ替えを行いましたが、現在は固定の男性講師と女性講師、お二人にお願いしています。

 お一人は、元俳優さんという個性的な経歴で、声が通って非常に聞きやすく、表現力も豊かで人を引き付ける魅力を感じます。

 また、もうお一方は女性講師の方です。建築・土木は男性比率が高い業界ですが、当社では近年、女性社員の雇用に力を入れていて、徐々に社員数も増えています。それもあって、女性の先生にはぜひ来ていただきたかった。

矢板

 お二人とも温かく、ときに厳しく指導してくださっています。話の進め方が巧みで、自然と新入社員に「マナーはちゃんとしないとマズイな」と意識づけができている印象です。

 たとえば、研修中の休憩時間が終わって、時間通りに戻ってこずに少し遅れた社員がいた場合、「遅れるなら、あらかじめ理由を伝えておきましょう」などと、ピシャリとやるべきことを指摘してくださる。時間厳守という社会人としての基本のキを、徹底して指導してくださいます。

ダイヤモンド社の人材開発サービス

マナー研修の成果

現場配属後の「マナー研修の学びが活きている」の声で手ごたえは実感、今後は質の向上と定着を図りたい

実際、研修を受けた新入社員のみなさんの反応はいかがでしたか?

矢板

 新入社員研修を経て現場に配属されてから3カ月後くらいに、新人の面談の機会を設けているのですが、その際に「マナー研修の学びが活きている」という意見はよく出てくるので、必要十分の効果は得られていると感じます。

 私たちから見ても、たとえば、挨拶などは研修後からすぐできるようになる印象です。身だしなみ、立ち居振る舞いも、学生気分のままでいてはダメだということが伝わり、すぐ改善されますね。ただ、習った直後はきちんとしていても、5月に現場研修に行ってから戻ってくると、再びだらしない感じに逆戻りしているようなこともあるのですが(笑)。

矢板

 マナー研修を受けたばかりの1年目の社員のほうがちゃんとしていて、2年目、3年目の社員のほうがダメ、というケースも見られます。支店に配属されて環境に慣れてくると、緊張感が薄れてしまう部分があるのかもしれません。新入社員は、学んだことを活かして先輩たちにいい影響を与えてくれれば、と思います。

現場で新人を指導するOJT担当のみなさんの評価はいかがですか?

報連相などのアクションをしっかりできている、と評価されるケースが多いです。一方で現場の管理者からフィードバックで改善の要望を受けることもあります。

 たとえば、報告に5W1Hが抜けているので要点が掴みにくい、といったところとか。一朝一夕でできるようになることではないかもしれませんが、今後はアクションできるようになるだけでなく、その中身のレベルを上げるところまで研修で学べるようにしたいと考えています。

 少し難しい点は、ひと口に新入社員と言っても20代前半の大卒社員だけでなく、高校卒業から間もない10代の社員もいて、入社時点のマナー知識の有無にも個人差が大きいことです。

 とはいえ、入社後は最終学歴によってキャリアが決まるわけではないので、スタート地点の研修でも差をつけることはなく、みんな一緒に育てていこうというのが当社の方針。当初は研修中のグループワークなどでも、年上がリードする場面がどうしても多くなりがちですが、異なる背景の者同士が支えあうことでシナジーが生まれることを期待しています。

今回ご導入いただいた研修

自律型 新入社員研修

「フレッシャーズ・コース(FC)」を活用した、内定フォローから一貫性のある新入社員研修。社会人に求められるマインド&マナーを習得し、自律型新入社員となる土台を形成します。

商品詳細ページはこちら

提案者の声

永井敬太 さん

株式会社ダイヤモンド・ヒューマンリソース HD首都圏営業三部

日本道路様は教育・研修にとても力を入れている印象です。土浦テクノBASEへお伺いさせていただいた際には、「設備や空間が素晴らしく、この施設で研修を受講できるなんて羨ましいな」そう思いました。ご依頼頂いている新入社員研修では、毎年全く同じ内容の研修を実施するということはありません。今の新入社員に必要な内容は何か、どうすれば学習効果を上げられるかなど、しっかりと検討をされております。そんな教育熱心な日本道路様の期待に応えられるよう、これからも努めてまいります。

導入企業

日本道路株式会社

日本道路グループは1929年に創業以来、90年以上にわたり道路舗装業界のリーダーとして、高い技術力を基に多くの国家的プロジェクトに参画してきた。高速道路や国道の工事を中心に、空港、港湾、橋梁、陸上競技場など、幅広いインフラ分野で実績を積んできた。これらの事業を通じて、人々の生活を支えるインフラの品質と安全性を確保している。2022年には清水建設株式会社の連結子会社となり、日本道路としての独自性を保ちながら、シミズグループとのシナジーを活かして新たな価値創造に挑戦している。時代の変化に対応し、次世代にふさわしいインフラの提供を目指し、常に新しい道を切り開いている。

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