しののめ信用金庫
内定期から新入職員研修への「接続」が引き出した自主性 〜自ら考え行動する職員を育てる、しののめ信用金庫の育成〜
- フレッシャーズ・コース
- 内定者フォロー

人を慈しみ思いやる姿勢を大切にする、しののめ信用金庫では、「自ら考え行動できる職員の育成」に向けた教育に力を入れている。フレッシャーズ・コースを活用して内定期間を社会人への自発的な「下準備」と位置づけ、内定期から入庫後の研修までをつなぐ「接続」の視点を取り入れた。大幅な業務効率化を果たしただけでなく、新入職員の自律性が劇的に開花。従来の関わり方を見直し、職員の成長を引き出した取り組みについて、人材開発室の都丸さんと佐藤さんに詳しくお話を伺った。(ダイヤモンド社 HRソリューション事業室)
人材開発室 室長代理 都丸善生さん(左) / 係長 佐藤早紀さん(右)
内定者フォローと新入職員研修への課題
時代に合わせた内定者フォローへの更新と、手作業による事務負担の軽減
まず、これまで内定者フォローにおいて抱えられていた課題や問題意識についてお聞かせください。
都丸
かなり長い間、それこそ40代半ばや50代の職員が若手だった頃から内定者フォローの内容が変わっておらず、「時代にマッチしていないのではないか」という強い課題感がありました。以前利用していた教材は、数字をひたすら書く、漢字のペン字練習をする、手紙の書き方を学ぶといった「作業」が中心でした。売り手市場のなかで内定者を惹きつけ続けるには、もっとワクワクしながら自分と向き合い、社会人になる心構えを自発的に作ってもらう必要がありました。また、手書きレポートの郵送対応など研修担当の負担も大きく、デジタル化による業務効率化も課題でした。
自律した職員を育てる第一歩。「社会人への切り替え」と「内面の把握」における壁
新入職員研修における課題についてはいかがでしょうか?

都丸
当金庫では、2ヶ月間の新入職員研修を行っていますが、学生気分から社会人へマインドを切り替えるまでに相応の時間を要していました。
若手育成プログラムでは、「5年間で、自ら行動できる自律した職員になる」という目標を掲げています。“鉄は熱いうちに打て”と言うように、営業店配属前の新入職員研修こそがその第一歩なのですが、従来のやり方では受講者が受け身になりがちで、自律性を引き出すための下準備が不足していると感じていました。
「社会人への切り替えがうまくできていない」というのは、具体的にどのような場面で実感されたのでしょうか?
都丸
やはり「自主性」の部分に現れていたと感じます。横並び意識が高く、「周囲からはみ出したくない」という意識を持つ職員が増えている印象があります。
ただ、金融業もサービス業の一種ですから、お客様に選ばれて初めて成り立ちます。だからこそ、自ら行動できる職員を育てていかなければなりません。その第一歩となる研修段階で自主性を育んでおく必要があります。営業店に行ってからではなかなか変わらない部分もあるため、そこに強い課題感を持っていました。
佐藤
当金庫は採用担当と研修担当が分かれているため、内定者が入庫するまで、彼らのことを知る機会が少なかったことも個人的には大きな課題でした。
直接会うのも1〜2回程度で、なかなか人となりまでは把握できません。採用担当と共有をしていますが、それだけではこぼれ落ちてしまう情報のほうが圧倒的に多かったです。特に志望動機や個人の価値観といった深い部分は、口頭の引き継ぎだけではどうしても伝わりきらないのが実情でした。
導入の決め手
自発的に自分と向き合えるストーリーと、「内定から新入職員への接続」が決め手に
そうした課題がある中で、フレッシャーズ・コースを導入するに至った経緯を教えてください。
都丸
理由はいくつかありますが、一番心が惹かれたのは「内定期間から新入職員までの接続」というコンセプトです。従来は「入庫前は入庫前」「入ってから教育する」と切り分けて考えており、内定から入庫までの流れを“接続”という観点で捉えたことがありませんでした。そのため、内定期間中からアプローチできることがあり、それが内定者のためにもなるという点が一番の決め手になりました。
もちろん、教材自体の魅力も大きかったです。サンプルを拝見して真っ先に惹かれたのがデザイン性でした。従来の教材は昔ながらのシンプルなデザインでしたが、フレッシャーズ・コースは情報誌のようなデザインで「こんな社会人になりたい」と希望に胸を膨らませられるものでした。
内容面も魅力的でした。単なるマナー学習や課題にとどまらず、1冊ごとに自分の内面と向き合い、社会人としての心構えに自らたどり着くストーリー構成になっています。

フレッシャーズ・コース(冊子)
都丸
さらに、これまでの運用フローを大きく崩さずに導入できる点も決め手でした。「金庫への質問機会を設ける」といった残したい軸はそのままに、少しカスタマイズするだけでシステムに対応できそうだと分かったのです。課題の『コミュニケーション・ペーパー』も的を射た内容で、採用担当と研修担当の間で共有しきれなかった内定者の情報もしっかり網羅できます。紙ベースからデジタルへの移行による業務効率化も含め、まさに求めていた内容でした。
導入にあたり、社内ではどのような議論や反応がありましたか?
都丸
他社との比較検討を挟む必要がないほど、実施したかったフォローがすべて満たされていました。旧教材に比べて費用は上がりましたが、費用以上の価値があると経営陣も後押ししてくれました。
手書きや郵送のやり取りがなくなることへの懸念や、「業界知識をどう補完するか」といった議論はありましたね。ただ、業界固有の知識については、信用金庫業界のeラーニングや業界新聞を並行して活用する形に整理しました。既存のリソースと組み合わせることで、十分カバーできると考えました。
「自分で考え、言語化する」。初月から自発的にびっしりと書かれた課題が提出される
教材を選ぶ際に重視されている視点があればお聞かせください。
佐藤
これまでの教材は、考えなくても進められる部分があり、どうしても『やらされ感』が強かったと感じています。私自身も学生時代はそうだったので気持ちがよく分かりますが、『面倒だな』『提出しないと怒られるからやろう』という投げやりな気持ちになりがちです。
だからこそ今回は、ただ言われた通りにこなすのではなく、「自分で考えて、考えたことを言語化できるか」という視点をすごく重視しました。フレッシャーズ・コースは、自分で頭の中を整理しながら取り組める点が非常に魅力的でした。
実は、内定期間中にコミュニケーション・ペーパーを始める際、どれほどの文量が提出されるか予測できず、フォローを入れる必要もあると考えていました。しかし、最初の月からこちらが促さずとも、全員がびっしりと内容の濃いコミュニケーション・ペーパーを提出してくれました。そのため個別のアプローチは行わず、交流会などで『しっかり書いてくれてありがとう』と全体に労いを伝えるだけで、自然と自発的な姿勢が育っていきました。
内定者フォローでの活用シーン
機能をフル活用し、内定期間から入庫後の研修までスムーズに接続
どのようなスケジュールや運用方法で活用されましたか?
都丸
10月の内定式で全体説明とアカウント設定を行い、11月から3月までの5ヶ月間で課題を実施しました。

都丸
提出日の前後にはLINEも活用し、リマインドを行いました。内定期間中はWeb版を活用しつつ、入庫後も手元で手軽に参照できるよう冊子でも配布するなど、受講者の環境に合わせた工夫を取り入れています。せっかく導入したからには使える機能をフル活用したいと思い、システム上のさまざまな機能を試しています。

入庫後の「研修日誌」を通して、新入職員のタイムリーで小さな変化に気づく
運用において特に工夫された点や、業務負担の軽減につながった部分はありますか?
佐藤
入庫後の「研修日誌」の運用にシステムを活用しました。 以前は、受講者全員に毎日手書きで研修日誌を提出させていました。研修担当は1文字ずつ内容を確認し、誤字脱字を見つけては付箋を貼り、日中に本人へフィードバックし、それをスキャンして回覧・返却する作業を夕方までに行っており、膨大な業務負担となっていました。
そこで、フレッシャーズ・コースの『コミュニケーション・ペーパー(課題機能)』の質問内容を独自に差し替え、自宅からスマートフォンやPCで手軽に入力できるシステム日誌として運用することにしました。
ただし、文章指導の観点から手書きの重要性も感じていたため、最初の2〜3週間はあえて手書きで提出させました。誤字脱字や文章表現の指導をクリアし、全体的に直しが少なくなったらシステム入力へ移行させるプロセスを採用しました。「手書きで合格したらシステム移行になる」と伝えることで、受講者側の日誌に対するモチベーションも保てたと思います。
研修日誌には具体的にどのような内容を記述させていたのですか?
佐藤
記述項目は毎日共通で、「理解できたこと」「分からなかったこと」「感想・気づき」の3点です。
特に「感想」の欄は、「少し疲れてきた」「こんなことに悩んでいる」といった受講者のメンタル面や本音をタイムリーにキャッチできる貴重なツールのため、研修担当として絶対に継続したい取り組みでした。システム化したことで誤字脱字チェックなどの手間が大幅に削減され、受講者の本音や小さな変化へしっかりと目を配る余裕が生まれています。
フレッシャーズ・コースと新入職員研修の接続の評価と得られた成果
マインドセットとマナー研修の相乗効果で、配属先からも絶賛される自主性が結実
内定期間中の意識醸成を経て、新入職員研修での受講者の「姿勢」や「行動」にはどのような変化が見られましたか?
都丸
「自主性」という観点において、入庫時の心構えや姿勢が例年と比較して素晴らしかったです。 今年は「社会人としてのマインドセット」をしっかり行おうと取り組んできましたが、入庫時点で心の準備や受け入れる姿勢が整っていたと強く感じます。 組織の考え方に自分を合わせる下準備ができていないと、研修で指摘を受けた際に反発や衝突が起きがちです。しかし今回は、受講者の皆さんに受け入れる準備ができていたため、大変進めやすいと感じました。フレッシャーズ・コースでの事前準備と、入庫直後のビジネスマナー研修による行動化が見事に連動し、研修の効果を倍増させたと感じています。
配属先の各店舗からも、「社会人としての基本的な姿勢に対する指摘が大幅に減少した」「例年以上に積極的な姿勢が見られる」と大変高い評価を得ています。
研修ルールも自分たちで立案・実行。自ら考え行動する「自律的な一体感」が誕生
具体的にどのような自主的なアクションが見られたのでしょうか?

佐藤
内定期間中にフレッシャーズ・コースで事前に関わり、入庫直後にダイヤモンド社のビジネスマナー研修を受講した結果、2日間の研修終了後には顔つきや姿勢がガラリと変わりました。
非常に濃密で疲弊するほどの2日間だったと思いますが、残りの研修期間での取り組み方が、本当に素晴らしかったです。研修終了後、「残りの1ヶ月半の研修期間をより良くするために、何を取り入れるべきか」と問いかけたところ、受講者から次々と具体的なアイデアが上がりました。例年であれば意見が出にくい場面ですが、今年は自分たちで以下のルールやアクションを決め、研修期間の最後までやりきったのです。

佐藤
講師の方があえて直接手を貸さず、指示のみで「自分たちで考えて動かす」というスタンスをとってくださったおかげで、受講者の中に自律的な一体感が生まれました。これまでは研修担当が手を貸しすぎていたことが、かえって彼らの自主性を阻んでいたのだと痛感させられるほど、任せることで全員が生き生きと動き出しました。
自主性の現れとして印象的だったのが、任意参加のボランティア活動(富岡製糸場の清掃など)です。例年は参加者がちらほら程度でしたが、全員が自主的に参加してくれました。
さらに、研修担当から「誰か取りまとめをお願いします」とだけ伝えると、自発的に手が上がり、翌日には途中経過を報告してくれるなど、指示を待たずに進めてくれたのです。個別面談でも「◯◯さんが頑張ってくれたので、次は自分が引き受けたい」という声が自然と出てくるようになり、この2ヶ月間で受講者同士が高め合える非常に良い雰囲気が作られたと感じています。
事前課題で内面を深く把握。「信じて任せる」ことで新入職員の可能性を引き出す
一連の取り組みを振り返り、全体的な手応えや感想をお聞かせください。
佐藤
「社会人としてのマインドセット」という部分については、確実に期待以上の効果が出たと実感しています。特に大きかったのは、入庫前の段階で一人ひとりの「内面を知る機会」が得られた点です。当金庫の規模であっても、全員を深く見ていくのは簡単ではありません。フレッシャーズ・コースを通じて事前に本人の価値観や志望動機、悩みなどの情報を掴めていたからこそ、その後の個別面談でも一人ひとりに合わせた深いアプローチができました。
都丸
事前課題をしっかり読み込んだ上で面談に臨むことで、「ここをもう少し深く聞いてみたい」と自然に対話のきっかけを作ることができました。
また、今回は受け入れる側にとっても大きな気づきがありました。「今までは少し心配しすぎていたのかもしれない」と。手厚く準備をしすぎていたことが、かえって彼らの自主性を削いでいたのだと痛感したのです。本当はみんな前向きで高い自主性を秘めており、それを信じて引き出すことの大切さに改めて気づかされました。
今回ご導入いただいた教材

フレッシャーズ・コース(コミュニケーション・ペーパー版)
内定者の不安&疑問を解消し、入社への期待を高めるコンテンツで内定期間をしっかりフォロー。マインドからマナーまで学べる、身につく、入社後も読める。
提案者の声
小渕将弘さん
株式会社ダイヤモンド・ヒューマンリソース HD首都圏営業1部 HD営業課
しののめ信用金庫様はSRD(Shinonome Rookie Development)という若手育成プログラムを実施されており、若手職員の成長を手厚くサポートされております。今回は内定者教育~新入職員研修に携わらせていただきました。Webフレッシャーズ・コースの機能を最大限ご活用いただき、内定者の皆様の不安解消やマインドセットに努めていただきました。そのおかげで、新入職員研修当日「社会人としてやるべきこと」を受講者1人1人が考えて研修に参加されておりました。皆様の教育に対する思いに応えられたことに大変嬉しく思います。
導入企業
しののめ信用金庫
1925年の設立以来、群馬県富岡市に本店を置き、群馬県中南部を中心に営業を行っている。基本理念「愛本位主義」のもと、信用金庫らしい温かみのある活動を積み重ね、お客さまと地域の未来に貢献できるよう努めてきた。法人への経営・事業承継支援や個人へのライフプラン提案を通じて確固たる信頼を構築。近年は若手育成をはじめとする人材強化やDX推進にも注力している。手渡しからはじまる幸せの輪を広げ、地域社会の豊かな未来に向けて挑戦を続けている。
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