株式会社JTB グループ本社

管理職のマネジメントスキル習得の機会不足に対し、 JTBの人財開発チームが導入した実践的手法とは?

  • 経験学習リーダシップ
  • 管理職研修

国内ツーリズム産業最大手・JTBグループ本社のグループ従業員数は、約2万名と非常に多い。それだけに、人材開発のシステムは緻密に構築されており、過去にはグッドキャリア企業アワード・大賞も受賞している。ただ、時代の変化や事業領域の拡大とともに、求められる人材像は移り変わり、育成のあり方にも変化が求められているという。こうした状況を踏まえて、同社が最近採用したのが「経験学習リーダーシップ研修」だ。今回は、JTB グループ本社 人財開発チームシニアコンサルタント 中村彰秀様に、今なぜこの研修に注目したのか、管理職が抱える課題にスポットを当てながら話を伺った。

課題

管理職がマネジメントスキルを習得する機会の不足が浮き彫りに 

JTB グループ本社 人財開発チームシニアコンサルタント 中村彰秀様

JTB グループ本社 人財開発チームシニアコンサルタント 中村彰秀様

今回ご活用いただいたのは、部下の指導・育成に取り組む方々を対象に、経験学習の知見に基づいて、部下を成長させるための方法を解説する書籍『部下の強みを引き出す経験学習リーダーシップ』(青山学院大学 経営学部 教授・松尾睦著)をベースとした研修です。導入に至った背景からお伺いできますか?

中村

JTBグループでは従来から、マネジメント業務を担う課長職の社員に対し、新たに課長になったタイミングで、新任マネージャー研修を行ってきました。ただ、それ以降は、専門性の高いビジネススキルを身に付けるような研修が中心となり、マネジメントに特化した実践的スキルを学ぶ機会は、ほぼ提供できていなかったんです。  

他方で、若い社員の離職率を抑えること、エンゲージメントを高めることは、常に会社にとっての重要課題です。人財開発チームでは、定期的にマネジメント意識調査やアンケートを行っていますが、若い社員、つまりマネジメントされる部下の側からは「上長との1on1ミーティングで自身の意思が十分に伝わっていない」「部下のキャリア支援ができているという認識について、上長と部下のギャップが大きい」といった、管理職のマネジメントに起因する問題点の指摘が、少なからず上がってきていました。要するに、課題解決に向けては、マネジメントのあり方を見直す必然性があった、ということです。

マネジメントのあり方を見直すにあたって、経験学習リーダーシップの研修に着目されたのは、やはり経験学習が人材開発の基本だから、ということでしょうか?

中村

はい。若手が経験学習のサイクルを回して、自力でぐんぐん成長していく、というのは容易なことではありません。そこには上長の指導が欠かせませんが、現場ではそれが不足がちで、若手が経験学習のサイクルをうまく回し切れていないのが実情でした。  

管理職の側もサポートの仕方がわからず、部下の成長目標シートなどのツールを活かしきれていないケースが散見されました。弊社では毎年期初に、社員一人ひとりが今年度の成長目標シートを作成します。それに基づいて期初、中間、期末の3回、管理職と部下が面談を行うのですが、理想的なのは、このシートに基づいて、日ごろから管理職が部下に目を配り、目標に近づけるように適切なサポートを行っていくことです。ただ、実際には、面談のときにしかシートを見ていない管理職がいることは事実でも多く、面談の仕方も理想とは程遠いケースも見受けられました。 

導入の決め手

部下に対する指導法や面談のポイントなど、必要な情報が過不足なく入っていた

書籍「部下の強みを引き出す経験学習リーダーシップ」

書籍「部下の強みを引き出す経験学習リーダーシップ」

経験学習に関する研修も非常にたくさんある中で、ダイヤモンド社の『経験学習リーダーシップ研修』を導入された決め手を伺えますか?

中村

きっかけは、営業の方に『部下の強みを引き出す経験学習リーダーシップ』の本をいただいたことです。読んでみたら、とてもわかりやすくていい内容だな、と。そのうえで、この本に基づいた研修を紹介していただき、これならマネジメント層にとって必要な実践的スキルを身に付けることができるのでは、と考えました。加えて、オンライン研修が可能だったことも決め手になっています。

御社は全国に従業員の方がいらっしゃるので、幅広く研修を受けてもらうためには、オンライン研修のほうが便利そうですね。

中村

コロナ禍以前は、研修というと対面が基本で、全国から大勢の社員を一カ所に集めて実施していました。ですが、今はウェビナーが当たり前になり、研修の内容によっては、社員を実際に集める必然性はなくなりました。「経験学習リーダーシップ研修」は3日程でこなしていく形式ですが、3日も研修のためだけに全国から集まってもらうというのは、なかなかハードルが高い。その点、オンラインなら移動時間が必要なく、職場のPCで研修を受けてもらえばいいので、取り入れやすかったです。

活用方法

実際に学んだことを活かせるように、評価面談直前のタイミングで実施

実際に研修を実施するにあたって、工夫されたことなどはありますか?

中村

研修を行うタイミングについては考えました。いくら良い研修をやって、多くの参加者が「有意義だった」「実務に活かそうと思った」という感想を持ったとしても、残念ながら、ほとんどの人は時間が経つと忘れてしまいます。それではもったいないので、この研修は参加者であるマネジメント層が、部下の評価面談を行う時期の直前に実施しました。

そのようにタイミングを調節したことは、功を奏しましたか?

中村

そう思います。研修内容が具体的で実務をイメージしやすく、部下との期初面談で活用できる「フィードフォワード面談」、期末に活用できる「リフレクション面談」のスキルが含まれる内容だったこともあり、研修の参加者からも後々「研修で学んだ内容を面談に取り入れることができた」といった感想が得られ、ダイレクトな行動変容につながったことを確認しています。

御社では、研修の社内広報にも力を入れ、事前に研修を大いに宣伝されるそうですが、今回も同じように宣伝されたのでしょうか?

中村

どの研修についても言えることですが、なるべく研修前の期待値を上げることを心がけています。先ほども申し上げたように、研修を受けて感銘を受けたにもかかわらず、すぐに忘れてしまい、何の行動変容にもつながらなければ意味がありません。さまざまなアンケートなどを分析した結果、“事前の期待値が高い研修で、実際に受けて推奨度や自己効力感が高まる研修だった”場合が、もっとも参加者の行動変容につながりやすい、という傾向が明らかになっています。そこで、研修の案内動画を作るなどして、研修に期待を持って臨んでもらえるように工夫しています。

成果

多くの参加者が高い推奨度満足度を示し、実際の行動変容にもつながった

研修に参加されたみなさんの反応はどうでしたか?

中村

オンライン研修ではありましたが、参加者同士が交流して意見を交わし、同じ立場の者同士の苦労を分かち合うなど、とても盛り上がっていましたね。弊社では研修後のアンケートの結果から、さまざまな項目別にその研修の評価をスコア化しているのですが、数多くの研修の中でも「経験学習リーダーシップ研修」は、全般的に高スコアでした。なかでも「NPS(推奨度)」という項目の数値が極めて高かったのが特徴的です。推奨度が高いというのは、参加者がこの研修を人に薦めたいと思っており、満足度が高いということを意味しています。  

参加者の実際の声を紹介すると「新しい気づきがあり、実践にすぐ活かせる内容だった」「新任のマネージャーにも、ベテランのマネージャーにもためになる」「部下の良さを引き出すための手法がわかりやすかった」「マネージャーとして知っておいたほうがいいことが多く、今抱える悩みの解決の糸口にできた」「育て上手のマネージャーになれるノウハウを得られた」といったものが挙げられました。  

また、「研修のベースとなる本があったのがよかった」という意見もありました。弊社としても、本に基づく研修は初めて取り入れましたが、後から読んで研修の内容を振り返れるので、せっかくの学びをすぐに忘れる、という現象をある程度食い止めることができたと感じました。新しい研修の形ですね。 

今回ご導入いただいた研修

経験学習リーダーシップ研修

松尾睦 教授『経験学習リーダーシップ』の知見に基づく、アクションラーニング形式の実践的プログラム 。マネジャーが部下の強みを引き出し、伸ばす指導方法を習得します。

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提案者の声

金杉学 さん

株式会社ダイヤモンド・ヒューマンリソース HD特販局 HD特販事業部 HD営業1部 課長

JTBグループ様は、既に充実した人材開発システムや育成制度を有していますが、社内外の環境変化を機敏に察知し、常に自社にフィットする研修を探求しておられます。この度は、管理職のマネジメントへの課題感がきっかけで本研修を導入いただきました。移動コストの低いオンライン形式、必要な時期に合わせて実施可能な短時間•複数日程開催、現場実践時にバイブルとしても機能する書籍連動型が本研修の特徴ですが、全国の拠点で日々多忙な管理職の皆さまに対して、この特徴をこれ以上ないほど有効にご活用いただいております。

導入企業

株式会社JTBグループ本社

JTB グループは 1912 年の創立以来、110年にわたり、地球を舞台に交流によって感動を届けてきました。現在は世界35か国82都市162拠点(2023年3月31日現在)のグローバルネットワークを有し、多様性に満ちた企業群が、世界発、世界着のビジネスを展開しています2023年4月からリブランドに着手しており、「期待を超える挑戦を続け、新たな交流時代を切り拓く」新JTBを掲げています。

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